時雨月の音 49
49
Masato Rain-
「大丈夫…ですか?」
俺を覗き込みながら不安そうな顔をする龍我。
「…おまえさぁ…三回もヤッといてよく今更そんな子犬みたいな顔で心配出来るな…」
俺は毛布に包まりながら背中を向けた。
「だって…雅斗くんですよ?俺のだいっすきな…夢みたいで…夢中になっちゃって俺…」
「…水…」
「あっ!はいっ!ペットボトルで買ってあるんです!雅斗くんがCMしてるヤツ!待ってて!」ベッドからピョンと飛び降りバタバタキッチンに走り去る。
俺はクスっと笑って、その背中を見つめる。
戻って来たモサモサの金髪頭を撫でてやりながらベッドにあぐらをかいた。
「はい!」
「どーも…」
龍我から受け取ったペットボトルを傾けて喉を潤す。
その姿を龍我はジッと見ていた。
「何見てんの?」
「綺麗だから…すみません…また俺…」
モジモジする龍我の股間に目をやると、そこは立派に元気を取り戻していた。
「いやっ!おまえ俺の年考えろよな!無理っ!もう無理だかんなっ!!」
焦る俺をよそ目に手からペットボトルを奪われる。
そのまま又シーツに押し倒され、軽い取っ組み合いになる。
長い手足が絡まって、最終的に抑え込まれた。
「チッ…おっまえなんて力してんだよっ!」
「俺だってっ!俺だって必死なんですっ!」
急にマジな顔になって怒鳴りつけてくる龍我。
「あんなにっ!あんなに愛されてるお兄さんがいるの見たら…必死にもなるでしょっ!!」
俺は吐き出された言葉に固まってしまう。
龍我はゆっくり俺に体重をかけて、首筋に噛み付いた。
「っ痛…龍…我…っんぅ…」
「俺、昨日、今日に雅斗くんの事好きになったんじゃないですっ!ずっと…ずっと好きだったんだ。絶対離さない」
"絶対離さない"
短絡的で…衝動的な若さが羨ましかった。
きっと…先の事なんて考えちゃいない。
だけど、それが心地いい。
龍我が深く俺に潜り込んでくる。
何かを考える間も与えず、貫き、擦り上げ、舐めて欲望に塗れる。
快楽で頭がいっぱい。
雅紀の事も、和の事も考えられない。
「龍我っ!んっ!ぁあっ!良いっ!気持ちいいっ…はぁっん!もっ!ダメだっ!!」
「雅斗くんっ!大好きだよっ…くっ…」
激しくなった腰の動きに、頭が真っ白になる。
こんなに寂しいのに…
こんなに…
龍我が可愛い。