ninon's BOOK

オリジナルBL小説のブログです。

時雨月の音27

 


27

 


Masaki Rain

 

 

 

仕事が終わって会社の上司から仕事の伝言を預かる。

切った電話を見て目が点になった。

 


一個前の着信…和くんになってる。

しかも、少し話してる?

通話時間が表示されていて、深酒した事を後悔した。

朝、起きた時、まだまだ酒が残ってた。

頭痛もしたし、記憶も怪しい。

現に少し通話してるんだ。

顔を片手で覆って溜息をついた。

 


ダラしない…

 


気を取り直して、勢いよく和くんに電話をかける。

話した内容を覚えていないだけに気持ちは沈んだ。

コール音に怯えはしたけど、優しい声が返ってくると、沈んでいた思いは払拭されて、あっという間に謝りきった。

 


「仕事…終わったんですか?」

『あぁ、うん。今帰り。今日は雅斗帰らないって言ってたからゆっくり出来そうだし、和くんのお店、寄ろうかな。』

「…あぁ、はい。待ってますよ。」

俺は一瞬の間を気にしなかったわけじゃないけど、彼に会いたいと素直に思った。

 


朝から降っていた雨が止んだせいで…手にした傘が邪魔になる。

 


必要なくなるとこんなにも邪魔になるもんなんだよな。

雨が降ってれば無かったら困るのに…

 


手にした傘を見下ろしながらparadoxへ向かった。

心なしか、やっぱりあの会話での間が気にならないでもなかった。

二日も続けて押しかける俺を疎ましく思ったかな?

だけど…君の寂しいが…俺の中に住み着いて離れない。

 

 

 

寂しいは嫌い。

寂しいは辛い。

寂しいは苦しい。

 


……君を救いたい。

 


拾った寂しい雨に濡れた子猫

 


和くん、君には何があったの?

どうしてだか、聞くわけにはいかないような空気を纏っている。

 


君に

 


何があったんだろう…。

 


俺はそれが知りたいなんて

思ってるんだ。