ninon's BOOK

オリジナルBL小説のブログです。

cross road 33

cross road

33

 


ちょっと寝たから身体が軽い

 


自転車を飛ばして家に向かった

自転車のスタンドを蹴飛ばす勢いで止めて家に飛び込む

 


キッチンに走って、目に入った林檎とナイフをカバンに入れてニノの家へ

 


おばちゃんが今から出掛けるから宜しくって看病を交代した

 


階段を上がる

軽くノックすると掠れた声で返事があった

「まーくん…朝ごめん、せっかく迎えに来てゴホン…くれたのに」

ベッドから上半身を起こして咳込むニノ

 


すぐ側に寄ってベッドの脇に座った

『いいから…寝転びなよ』

「うん」

ニノが布団に入る。

目の高さが座った俺と同じになる

 

 

 

『熱は?』

そっと額を近づけた

「微熱まで下がったよ…なんかごめんね」

合わせた額からはさほど熱を感じなかった

 


『林檎あったからさ、食べるだろ?』

「まーくん…ウサギにしてよ」

『お前また無茶言うなぁ』

「んふふ、だって料理人になるんだろ?ウサギくらい出来ないとさ、お花とか出来ないよ?」

『ウサギなっ!よし!やってやるよ!』

しばらく林檎と格闘した俺はやっとウサギ?

を完成させた

『ホラ!ウサギさん!』

「ねぇ…マジで怖いんですけどフフフ」

『なぁ~んでだよぉ、ウサギだろ~ホラ、ここがミミでここが…んっ!…はぁ…』

クチュっと淫らな音がする

ニノがセピア色の瞳をウルウルさせながら舌を絡ませてくる

身体の一部だからかな…

いつもよりうんと熱い

 


「移しちゃったかな…ごめん」

唇を離して熱をはかった時みたいに俺の額に額を合わし謝るニノ

 


『…いいよ、そんなの』

ニノの頬に手を添えもう一度口付ける

 


昨夜の事がどんどん聞きにくくなる   

好き過ぎてヤバい

ニノが言わないなら俺は聞かない方がいい事なんじゃないかって

 


自分を救う為の言い訳が頭の中で一杯になった

 


「まーくん、林檎食べよ」

ニノがそう言って指差す

 


テーブルの上でティッシュを皿代わりにして佇むウサギの林檎は全部ニノが食べてくれた

 


「まーくんに移したから俺すぐ治るねフフ」

『俺は風邪は引かないの!かかるのは花粉症だけって決めてるの』

 


「ブッ!何それ!ホントまーくん意味わかんないよね」

ニノが来た時より元気に笑ってみえた

 


でも…どうして気づいてしまったんだろう

 

 

 

ニノ

 


俺はお前を抱いた時

 

 

 

そんな場所に

 


証拠は残してないんだよ?

 

 

 

昨日、お前が居た場所は

 


俺の腕の中じゃなかったよね?

真っ白な首筋の鎖骨に近いラインに綺麗に咲いた鬱血の跡

 

 

 

どうして

気づいてしまったんだろう…