vintage motion 27
27
jun
ずぶ濡れだ、ちくしょ…
まるでついてない…
BARを出て雨に降られた。
小汚い落書きだらけのシャッターが降りた古着屋の軒下に避難したものの…
何だか色んな気持ちが整理出来ない。
俺は俯き携帯を手にする。髪から滴る雫が画面を濡らした。
コール音を耳に押し当てしばらく光る雷を目を細めて見ていた。
「…はい。」
「ニノ?」
「うん…電話なんて珍しいね。どうしたの?」
「…一日空けたから…俺とエッチして」
ザァーっと雨足が強まって、ゴロゴロと空が唸り声を上げる。
「フフ…何それ。」
「何でしょうね」
「…いいよ。どこ?」
「いつものホテル」
「分かった。」
電話を切って、携帯を握った手のまま顔面を塞ぎ、ズルズルとしゃがみ込んだ。
「フフ…ハハ…んだょ…何なんだよっ」
断られなかった…
膝が震えるようだった。
今まで感じた事の無い…喜び…
立ち上がり、濡れた髪をかきあげて、約束した場所に向かった。
冷たい雨に打たれながら、時折光閃光に目をやって苦笑いした。
ニノと出会ったきっかけは遊び散らかす為に登録したアプリ。当然やりモクなわけだから、条件の欄には恋人は要らない、本気お断りの文言を入れた。
沢山出会って快楽だけ貰えたらそれで良い。
そう…それが俺だったんだ。
一年近くも同じ相手をセフレにして…
情でも沸いたんだと思ってたけど…
ブツブツ考え事をしていたらあっという間にホテルの前だった。
向こう側から傘をさした男が見える。
少し猫背で…琥珀色した瞳が揺れるのが見える。
「潤くんっ!!ずぶ濡れじゃない!」
傘を差し掛けてくる手を握った。
「じゅっ…潤くん?」
「雨も滴る?」
「良い男…だよ。全く、良い年した大人が雨に打たれて良いわけないだろ!風邪ひくよ?」
「早く入ろ」
俺は説教を聞く前にニノの手を引いた。
部屋に入ってすぐ閉めたばかりの扉に押しつけキスをした。
「…んぅっ…ぁ…はぁっんっ!んぅぅっ…潤っくんっ!」
「あっま…おまえさっき何か食っただろ」
深い口づけはいつもに増して甘い味がした。
「…シュークリーム、二つも食べちゃった…」
何かの…スイッチが音を立てて入る。
ベッドに押し倒したニノに、タオルで目隠しをして、バスローブの紐を使って後手に手首を縛り上げた。
「何っ!潤くんっ!どーしたのっ?」
「ニノ…」
首筋に噛み付いて、引きちぎるみたいに吸い付いた。
「ぃっ…やだっ…痛っ…」
目を塞がれて次に来る刺激が分からないニノが身を捩る。
噛み付いた箇所から舌を這わせて、胸の尖りを口に含んだ。
チュ ピチャ …
「ぁっ!んぅっ…」
「気持ち良くなって来たな…乳首…たってる」
ニノの息遣いが荒くなる。
「何?今日はSっ気に…んぅっ…拍車…かかってるじゃん」
「ハッ!…縛られて目隠しされて興奮しまくってるMっ気が盛んな子に言われたくないなぁ」
ニノの口角がニヤリと上がる。
シーツの上をスーッと爪先が滑らかに滑り、膝を立てたニノの両足は俺の前でパックリ開かれた。
「…クソビッチ」
開いた両膝に手を掛けて内腿を撫でながら付け根に向かう。
「ハァ…ぁ…」
「汁垂れてる」
ニノの盛った熱の先端から透明の汁がキラキラ溢れている。
俺はそこだけに舌先を這わす。
「ぅっっ…ンンっはぁ…気持ちいぃ…」
絡めとるように舐め上げると、舌先と先端を銀色に輝くソイツがタランと糸を引いた。
ビクンビクンと揺れるニノの盛り。
今度はそこを無視して、脇腹や臍の周りを舐めたり吸ったりする。
時折両手の指先で両胸の尖りを摘み、クリクリとこねてやる。
「あっ!ぁんっ!ん~っっ!っはぁっ!」
ギュッと強めにつねると、ビクンと背中が弓なりにしなった。
俺の腹に当たったニノの熱。自ら腰を浮かし、先端を腹に擦りつけようとするニノを見て舌舐めずりした。
後手に拘束された手がいう事を聞かなくて、自慰が出来ないから苛立ってるんだ。
「一回出しとくか…」
「潤くんっ!お願いっ!さわっ…てっ!」
張り詰めてパンパンの熱が腹にこすりつけられるのを見ているのも悪くなかった。
けど…もっと見せてくれるよな…。
俺はニノの手を解いた。
「じゅ、潤くん?」
目隠しされたまま手が自由になったニノが首を傾げる。
「何だよ…ビッチなネコは今から自分で解すんだよ?…」
「くっ…」
俺はニノの噛み締める唇に指を差し込んだ。
「そんなに噛んだら切れるぞ」
「ンッ」
グッと喉の上を擦り上げてやると、ニノはイイ声を出す。
我慢し切れない俺は指を引き抜いて、自分の盛る熱を押し込んだ。
「んぅっ…ぅぐっ…」
「ハッ…すげぇ…口ん中まであっちぃ…良いぜ、自分でしながら俺も良くしてくれるだろ?」
目隠しされたままのニノは自分のを握りながら俺のを一生懸命しゃぶり始めた。
それはしっかり一年近く、身体だけを許し合った関係が成立している証拠で…快楽に従順なニノを作り上げたのは他の誰でも無い、この俺だと知らしめた。
その事実に、正直満たされていた。
ここに居るニノは、俺が作り上げたんだと。
たとえこの関係が
ただのセフレだったとしても…。