寂しいならば 43
43
nino’s Book
指…入ってる…
苦しくて、息出来ねぇ
短い息継ぎに気付いた相葉さんが優しくキスしながら深呼吸するように促してくれる。
力の入った身体からゆっくり脱力するように努めた。
相葉さんがどんなに頑張ってくれたって、俺も協力しなきゃ絶対こんなの痛いに決まってる。
もう、涙は出るし、変な声はとまんねぇし頭の中はパニックだった。
もう随分長い時間相葉さんの指が中で動いてる気がする。
時折訪れるゾワッとする感覚に高い声が漏れて口を塞いだ。
『口…塞がないで…息、苦しくなるでしょ』
相葉さんが俺の手をそっと口元からどかす。
その指先を口に含んだりしながら愛撫され、敏感になった身体はますますおかしくなる。
なんか、身体への触れ方がすげぇ…エロくて、すげぇ大事にするみたいで終始恥ずかしくて堪らない。
俺、女抱いた時、指先なんて構う事なかったよ。
何かそんな事を考えだすと、胸のあたりがモヤモヤしてきた。
相葉さんが今まで愛してきた女達は、こんな風にしてもらってきたかと思うと何となく許せない感情が湧いていた。
「相葉さんっ…もう…良いんじゃ…ないか?」
『あぁ…もう少し…指だけでも、きっと良い気持ちになりますから』
なっ!何だよ!この余裕はっ!くそっ!
俺はフイと顔を逸らし身体の力を抜いたその瞬間だった。
ゾクゾクするような感覚を覚えて知らぬ間に声が漏れる。
「はぁぁんっ!んぁっ!ちょっ!やめっ!そこダメだっ!!ダメっ!だってばっ!アッんぅっ…!んっ!んっ!」
『見つけた…ここ…』
相葉さんが指をあてがってくる場所が頭を真っ白にする。
気持ちいいなんてもんじゃなかった。
すっかり萎えていた自分のモノが恥ずかしいくらい立派に吐き出したい欲望でパンパンに膨れ上がる。
『すっげぇエロ…イキたいの?二宮さん…』
相葉さんが指を動かしたまま、胸の尖りを甘噛みしてくる。
「やっ!頼むっ!抜いっ!てっ!はぁぁんっ!ぅゔっ!ヤダっ!ヤダっ!ぁぁあっ出るっ!!」
相葉さんの容赦ない刺激に俺は果てた。
パタパタと相葉さんの胸元に、自分の腹にとんでもない量だ。
相葉さんが自分の胸元をジッと見つめてカァッと赤くなる。
指先で俺の吐き出した白濁を掬い取ると
『二宮さん…俺、ちゃんと出来たね!気持ちよかったですか?』
「いっ!今聞くなっ!!恥ずかしいっ!!」
『くふふ…すみません…場所、分かったから…』
そう言うと相葉さんは俺の頰にキスをして、瞼にキスをして、唇に触れるか触れないかの距離で…
『中、入りたい』
膝を押し広げられたのを感じ、指が入っていた場所に…明らかに雄の象徴が当てがわれたのを…感じた。
「ハッ!んぅっ…」
『痛い?』
俺はフルフルと首を左右に振る。
ギュッと膝裏を持ち上げられ、自分の足が顔の真横に来る。
『はぁ…中、凄い熱い』
「しゃべっ!…んな…」
ジリジリと広がりながら腹の中が圧迫されていく。
ゆっくり挿入されるモノが全部入った辺りで、相葉さんが俺をギュッと抱きしめた。
『どうしよ…すげぇ嬉しくて…俺…』
首筋に何度も吸いつかれ、若干ズキズキと痛むくらいに内出血した痕をまた吸われる。
「いったいよ!んっ…同じ場所っ!ばっか吸うなっ!」
ダメだ、腹が圧迫されて少しでも動いたらさっきの場所を当て擦られるのが分かって思考回路が回らない。
動かない相葉さんに我慢が出来なかったのか、俺の腰が緩く上下した。
案の定、良い場所に擦れて身体に電気が走った。
「んぅっ…ぁぁっ!」
『ちょっ!二宮さん、自分で動くとか反則ですよっ!どこまで煽り上手なんだよっ!くそっ!もうっ!俺、無理ですからねっ!あなたが悪いんだッ!』
グイッと太ももの裏を押し上げられ、ケツが高く晒される。
「あっ相葉さんっ!ちょっっ!あぁっ!ンッ!ハァッ!ヤッ!ダメっ!よっせっ!」
『自分から腰振り出したくせに、そんな事きけませんっ!くぅっ!ハァッ!スッゲ、中、ビクビクしてる』
激しいピストンは俺を俺じゃなくならせた。
踏ん張っても、突っぱねても、相葉さんの馬鹿力には全然叶わなくて、俺は悲鳴のように喘ぎ続けた。
真っ白だ。
天も地も分からない。
転がされた身体は犬のように四つん這いにされ、腰を引き上げられ、背中を押し込まれた。
刺さった相葉さんの熱は容赦なく良い場所を狙って、遂には口とシーツの間に粘着質な唾液が垂れ流れ繋がっていた。
気持ちいい
こんなの知らない。
「ぁぁあっ!ハァッ!くぅっ!ヤダッ!やぁぁっ!」
『二宮さんっ!イキそうっ!くっ…っっ!!』
ガクッと身体の力が無くなって、顔面から枕に突っ込んでた。
身体が痙攣する。
グチュッと生々しい音がして、ズルッと相葉さんが身体を引き抜いた。
「んぅっ!!はぁ…はぁ…あ、相葉さん」
『二宮さん!』
枕から顔をあげた俺に相葉さんがガバッと抱きついてきた。
『好きですっ!大好きっ!』
ギュッと胸元に引き寄せられる。
お互いの身体はベタベタしていて、お世辞にも何本か読んだBL漫画のように綺麗な事後ではなかった。
ただ、それがおかしいやら、嬉しいやら…幸せやらで頭の中がまとまらない。
俗にいうお花畑状態だ。
「何か…すげぇ…疲れたわ」
『えぇ~っ!そんなぁ、良くなかったですか?沢山イッたじゃ、ゔぅっ!』
俺は相葉さんの顔面を枕で押さえつけた。
「うっせぇっ!あんま喋んな!」
『ぅ~酷いなぁ。…ぁ…二宮さん、身体…痛みとかないですか?』
「ぅ~ん…何か…」
『な、何か?』
「まだ、お前のが中に居るみたいな感じする…」
俺はシーツを捲って腹を撫でた。
反応が無いもんだから、隣りを見上げると、真っ赤になった相葉さんがまた俺を抱きしめる。
『…二宮さん、無自覚に煽るの上手すぎて心配になりますよ。』
「あっ!煽ってないわっ!相葉さんが聞くからだろっ!あっ!あと首っ!首のキスマがいてぇんだよっ!もう、肉食いちぎられるのかと思っただろっ!」
ドンと拳で胸元を叩いてやると、俺の腰に回した手を引き寄せ身体が更に密着するようにした相葉さんがニッコリ満足そうに呟いた。
『食いちぎりたいくらい好きなんです。痛みで、ずっと俺の事、考えればいいのにって…消えなくて良いって…俺…こんなの初めてです。』
こんなの
初めてです。
相葉さんの幸せいっぱいの笑顔を見てるのに…
どうしてだか俺は急に怖くなって、彼にしがみついた。
『二宮さん?どうしたんですか?大丈夫?』
「大丈夫…何でもない。」
こんなに幸せで
良いのかを
相葉さんの胸の音で確かめている。
また過ったのは
書きかけてから随分と経つのに、やめられない出だしの小説。
寂しい…
俺は今、多分だけど…
寂しくはなくて
少し怖い。